家を建てたらしばらくの間は快適に過ごせますが、設備や外壁はしだいに劣化したり故障したりします。外壁は雨や風、紫外線にさらされるためある程度色あせたりひび割れたりしてしまったら、外壁を塗りなおす必要が出てくるでしょう。外壁に起こるトラブルとして凍害というものがあります。今回は凍害について解説します。
外壁の凍害とは
外壁に起こる凍害という現象を知っていますか?外壁が劣化する原因となるため知識として知っておくとよいでしょう。
凍害って何?
凍害は文字の通り、外壁が含んだ水分が凍ることで起こる被害のこと。水分が凍ってしまうと膨張してしまうため、外壁も膨張して耐久力が低下したりひび割れてしまったりします。
どんなときに凍害が起きるの?
凍害が起きるのは外壁の内部の水分が凍るくらい低温になるときです。そのため冬寒い地域で起こりやすく、日本だと北海道、東北、北陸など。それらの地域で家を建てようと思っている方は凍害について知っておくとよいでしょう。
とくに日中と夜の気温差が激しい地域は、外壁が含んだ水分が凍って解けてを繰り返すことで劣化しやすくなります。
外壁の凍害が起こる原因とその被害の特徴
寒冷地に住んでいる方は凍害の原因と被害が起きてしまったら外壁はどうなるのかを知ることで、凍害対策を行いましょう。
凍害の原因とは?
凍害は氷点下になるような寒い地域や、昼と夜の気温差が激しい地域で起こりやすい被害です。外壁は家を建てたら一生そのまま使い続けられるわけでなく、外壁の表面をおおっている塗膜は、経年劣化で防水効果がなくなってきてしまうでしょう。
防水効果がないまま放置していると、外壁の中に水が入るようになってしまい、その水分が凍結することで凍害となってしまいます。この凍害を凍結融解作用による凍害といいます。
家を建てる段階で起こる凍害もある
家を建てた後に外壁が劣化していく凍害もありますが、家を建てる際に起こる凍害もあり、これを初期凍害といいます。
初期凍害は外壁に利用するコンクリートが固まる前に水分が凍ってしまうため、強度が不十分になってしまう被害をさします。一度初期凍害が起きてしまったコンクリートは、計画していた通りの品質を得ることが難しくなってしまいます。
凍害の特徴とは?
凍結融解作用の凍害を受けた外壁をそのままにしておくと、外壁の下地部分まで水分が染みこんでしまいカビたり腐ったりしてしまいます。さらに劣化が進むと建物の躯体まで被害が広がってしまうかもしれません。
そのため早期発見が大切です。初期段階ではまず外壁に細かいひび割れが起こるようになります。さらに被害が大きくなると外壁が剥がれ落ちてしまいます。
時には大きな塊が落ちてしまうこともあるので、そうなる前に対処しましょう。初期凍害の場合はコンクリートが黒ずんでしまう、コンクリートの表面上に凍結が浮かび上がるといった症状が現れます。
凍害の補修方法は?
凍害がもしも発生してしまったら、一体どのように対処すればよいでしょうか。凍害は外壁に発生するトラブルの中でも、放置すると建物への影響が大きいため早急に補修する必要があります。
凍害を放置した状態では外壁が水分を含みやすい状態となるため、塗装のひび割れなどの劣化、建物への腐食などのトラブルへ発展します。建物全体に大きな被害がおよぶ前に、次に解説する2つの補修方法を検討しましょう。
凍害を塗装のみで補修する方法
凍害が発生したら、2つの方法による補修方法が検討できます。まずひとつ目は再塗装です。凍害が軽度の時に検討する補修方法で、塗装のみで施工します。
目安としては、数ミリの米粒程度の凍害であり、これよりも大きい症状が見られる場合には2つ目の補修方法を検討する必要があります。塗装による補修の場合、通常のリフォームにおける外壁塗装出は実施する高圧洗浄は行わない、もしくはおこなっても小規模に留めます。
汚れが目立つ場合、高圧洗浄ではなく塗料専用のシンナーを活用して汚れを除去し、なるべく外壁へのダメージが広がらないように工夫します。一般的な塗装の下塗りは1度が多いですが、凍害への塗装する場合は2度行い、これ以上劣化が進行しないように下塗り塗料で固めます。
中度の凍害でも、外壁の状態によっては塗装のみで補修できます。ただし、再発の可能性は高いため注意が必要です。数年程度で再度凍害部分の症状が進行することが多く、リフォームコストが高くなるおそれがあります。
新規の外壁材へ張り替えする方法
2つ目の方法は、新規の外壁材への張り替えです。この方法は、数ミリの米粒サイズよりも大きい場合に実施を検討するべきものです。
わずかなサイズの違いでも、凍害が大きいと塗装のみの補修ではリカバリーが難しいため、再発によるリフォームを実施するよりも張り替えがお得でしょう。
張り替えする場合は、既存の外壁材を解体する必要があるため、再塗装による補修工事よりも大規模な工事が必要です。足場も必要となるほか、施工期間も長くなります。
張り替えをする工法としては、新規の窯業サイディングを選択して張り替える方法だけではなく、既存の外壁材の上から新規の外壁材を施工する金属サイディング工事も検討できます。
既存の外壁を外さない金属サイディングによる施工は施工期間が短く、費用も抑えめですが金属を重ねて張ることにより建物全体の総重量が増します。
耐震性も踏まえて慎重に判断する必要があるほか、金属サイディングによる凍害補修は施工後に下地が見えなくなるため、既存下地の劣化が進行していないか判断の上で施工する必要があります。
外壁の凍害の効果的な対策法
外壁を防ぐ方法や起こってしまったときの対処法にはどのようなものがあるのでしょうか。事前にできる対策や起こった後の対処法について解説します。
塩害が起こりにくい外壁にする
寒冷地に家を建てようと思っている方は塩害が起こりにくい外壁を選びましょう。金属サイディングは水が浸透しないのでひび割れの心配がありません。
金属なのでサビる心配はありますが、近年の外壁材はサビにくくなってきています。
定期的な点検を行う
凍害が起こっていないか定期的に点検することで早期発見できます。外壁に変化がないか、目地のところのコーキング部分がひび割れていないかなど、日常的に自分でチェックしましょう。
外壁やコーキングにひび割れがあると、そこから水分が入りこんでしまい凍害の原因になってしまいます。
日常的に自分で点検してみて異常があったら業者に詳しく点検を依頼しましょう。また、劣化する前に早めに塗装し直すのも効果的です。
早めに補修作業を行う
外壁のひび割れやはがれなどが小さく被害が少ないうちにパテなどで補修、外壁の表面の塗膜を塗りなおすのがよいでしょう。
自分でパテを塗ったり塗料を塗ったりもできますが、凍害の被害がどこまで及んでいるのか素人には判断できないため、プロの業者に補修作業を行ってももらうのが賢明です。
工事のときにチェックする
初期凍害の場合は寒い時期にコンクリートの流し込みを行わない、または養生して凍らないようにするといった対処法があります。寒い時期に家づくりをすることになった場合は、工事業者が適切な対応をしているのか現場をチェックしてみましょう。
もし、凍害が起こっていれば、脆弱なコンクリート部分を取り除き、セメント系の補修材で補修を行うことになります。
まとめ
日本は四季があり、住むところによって冬も温暖な気候のところ、雪が降るくらい寒くなるところと特徴が異なります。雪が降るような寒い地域の家は、外壁に入りこんだ水分が凍ってしまうことで起こる凍害の被害にあう可能性があるので、対策が必要になるでしょう。対処法としては凍害が起こりにくい外壁材を選ぶ、外壁の点検を定期的に行う、劣化前に塗装し直すなどといった対処法があります。凍害を放置しておくと外壁の内部の方まで被害が進行し、カビたり腐ったりして家が傷んでしまうかもしれません。もし被害を見つけたら早めに補修作業を依頼するようにしましょう。